施工実績

中野区の木造アパートにて、居室の窓枠下から“砂のような粒”がパラパラと落ちてくるというご相談を受け、緊急で点検に伺いました。一般的なシロアリの被害では、床付近の食痕や湿った木部の腐食などが多いのですが、今回確認された「乾いた粒」「サラサラした砂状のもの」「穴が開いている」という症状は、典型的な カンザイシロアリ（乾材シロアリ） 特有のフラス（糞）でした。
カンザイシロアリはヤマトシロアリと違い、水分をほとんど必要とせず、乾燥した木材の内部だけで生活できるため、アパートの二階や天井付近でも簡単に繁殖します。被害の発見が遅れやすく、今回の現場でも、窓枠の裏側で内部が大きく空洞化している箇所が確認されました。

まず入居者様のご説明どおり、窓枠の角に直径2〜3mmほどの小さな孔が複数あり、そこから押し出されるようにフラスが排出されていました。室内の巾木、壁際のクロス、サッシ枠の下部にも細かな黒褐色の粒が散らばり、指でつまむとすぐ崩れるほど乾燥した状態でした。これを丁寧に回収し、顕微鏡による形状確認でも、六角形の粒が混じる典型的な乾材シロアリのフラスであることが判明しました。続いて、壁内部の状況を把握するため、打診による調査を実施しました。壁の一部で反響音が変わり、内部がスカスカになっている可能性が高かったため、必要最小限の範囲で壁面に小さな穿孔を行いました。

カンザイシロアリの駆除は、ヤマトシロアリのように床下へ薬剤を散布するだけでは効果が得られません。木材内部に直接薬剤を圧入する 「穿孔注入処理」 が必須となります。今回の現場では、窓枠・被害箇所にピンポイントで穴を開け、専用の高圧器具を使って薬剤を木材内部まで深く浸透させました。乾材シロアリは巣を分散させる傾向が強く、同一箇所に複数のコロニーが形成されることもあるため、発見範囲よりも広めの構造材へ薬剤を打ち込み、再発リスクを徹底的に抑える施工を行いました。

さらに、壁中のフラス排出孔を放置していると再度フラスが落ちたり、新たな群飛個体が発生する可能性があるため、薬剤の浸透乾燥後に木部補修と仕上げ処理を実施しました。必要に応じて窓枠の部分交換も検討しましたが、今回は補強材を追加し、表層の化粧板をリペアして美観を回復。賃貸物件のため、入居者様が通常どおり生活できるよう、施工時間と養生範囲を最小限に抑えて対応しています。

オーナー様に状況をご説明し、定期点検の必要性をお伝えしました。カンザイシロアリは一度侵入すると長期にわたり建物内部で繁殖し続けるため、今回の駆除後も半年〜1年ごとの経過観察が理想的です。
【事例】『玄関や床下のシロアリ駆除を行いました』など掲載

今回のように「砂のようなものが落ちてくる」「窓枠に小さな穴が開いた」「壁の内部からカサカサ音がする」という症状は、早期発見の大きなサインです。特にカンザイシロアリは気づいた時には柱の芯が消えているケースも多く、早めの点検と専門的な注入処理が非常に重要です。中野区周辺で同様の症状がある場合は、放置せず専門業者への点検依頼をおすすめします。
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